信濃紀行


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淺間颪に吹きさらされむ日も近く防風林めぐらす家々はあり
アサマオロシニ フキサラサレム ヒモチカク ボウフウリンメグラス イエイエハアリ

『朱扇』(朱扇社 1953.1) 第5巻1号 p.5


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やみがたき思慕に訪ひ來し日も遠し山なみ蒼き君がふるさと
ヤミガタキ シボニトヒコシ ヒモトオシ ヤマナミアオキ キミガフルサト

『朱扇』(朱扇社 1953.1) 第5巻1号 p.5


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林檎樹林の間の小道もとほりて遂げがたかりし戀の日を追ふ
リンゴジュリンノ アワヒノコミチ モトホリテ トゲガタカリシ コイノヒヲオフ

『朱扇』(朱扇社 1953.1) 第5巻1号 p.5


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胸深く古き牧歌の鳴るごとし暮れゆく原に尾花そよげり
ムネフカク フルキボッカノ ナルゴトシ クレユクハラニ オバナソヨゲリ

『朱扇』(朱扇社 1953.1) 第5巻1号 p.5


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如何なる家の建ちゆくならむ道の邊の地鎮めの式に人等集へる
イカナルイエノ タチユクナラム ミチノベノ チシズメノシキニ ヒトラツドヘル

『朱扇』(朱扇社 1953.1) 第5巻1号 p.5


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淺き瀬のさざなみ光る千曲川堤の道を人はゆきかふ
アサキセノ サザナミヒカル チクマガワ ツツミノミチヲ ヒトハユキカフ

『朱扇』(朱扇社 1953.1) 第5巻1号 p.5


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畑中は籾殻を燒くうすけむり淺間嶺もいつか暮れゆきにけり
ハタナカハ モミガラヲヤク ウスケムリ アサマネモイツカ クレユキニケリ

『朱扇』(朱扇社 1953.1) 第5巻1号 p.5