目次
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全短歌(歌集等)
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埼玉風景
水中花
窓にさす
音の無き
等身の
駅前の
スカーフの
乱るるは
たれの手に
10526
窓にさす陽をカーテンにやはらげて何か吊りあふ思ひにゐたり
マドニサス ヒヲカーテンニ ヤハラゲテ ナニカツリアフ オモヒニヰタリ
『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1982.2) p.
10527
音の無き時間ながれて石蕗を離れし蝶のいづくへ帰る
オトノナキ ジカンナガレテ ツワブキヲ ハナレシチョウノ イヅクヘカエル
『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1982.2) p.
10528
等身の人形が笑ひし声かとも驚きやすく地下街をゆく
トウシンノ ニンギョウガワラヒシ コエカトモ オドロキヤスク チカガイヲユク
『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1982.2) p.
10529
駅前の放置自転車神々に見放されたる病のごとし
エキマエノ ホウチジテンシャ カミガミニ ミハナサレタル ヤマイノゴトシ
『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1982.2) p.
10530
スカーフの風によぢれてどこまでもつきて来るもの影のみならぬ
スカーフノ カゼニヨヂレテ ドコマデモ ツキテクルモノ カゲノミナラヌ
『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1982.2) p.
10531
乱るるはわれのこころと思ふまで収穫終へしキャベツの畑
ミダルルハ ワレノココロト オモフマデ シュウカクオヘシ キャベツノハタケ
『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1982.2) p.
10532
たれの手に作りたがへし水中花いつまでも咲かぬつぼみが青し
タレノテニ ツクリタガヘシ スイチュウカ イツマデモサカヌ ツボミガアオシ
『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1982.2) p.