目次
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全短歌(歌集等)
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埼玉風景
鳥かご
堂深く
裁ち屑を
さすらいの
鳥かごの
その母に
春の雲の
つつがなき
10533
堂深く窓の明りに仰ぎ来し十一面観音は目閉ぢても見ゆ
ドウフカク マドノアカリニ アオギコシ ジュウイチメンカンノンハ メトヂテモミユ
『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1983.2) p.
10534
裁ち屑を掃き寄せをればひとかたに集まるごとしわれの思ひも
タチクズヲ ハキヨセヲレバ ヒトカタニ アツマルゴトシ ワレノオモヒモ
『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1983.2) p.
10535
さすらいの子猫を飼ふと決めしよりすなほになれる少女と伝ふ
サスライノ コネコヲカフト キメシヨリ スナホニナレル ショウジョトツタフ
『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1983.2) p.
10536
鳥かごのかたちやさしく包まれて運ばれゆけり少年の手に
トリカゴノ カタチヤサシク クルマレテ ハコバレユケリ ショウネンノテニ
『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1983.2) p.
10537
その母に返して胸のさびしけれあたたかかりしみどり児の嵩
ソノハハニ カエシテムネノ サビシケレ アタタカカリシ ミドリゴノカサ
『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1983.2) p.
10538
春の雲のふくらむ見れば錯誤さへ身に華やげる日のありにけり
ハルノクモノ フクラムミレバ サクゴサヘ ミニハナヤゲル ヒノアリニケリ
『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1983.2) p.
10539
つつがなき明日ある如しほどけゆく航跡雲もかすか茜す
ツツガナキ アスアルゴトシ ホドケユク コウセキウンモ カスカアカネス
『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1983.2) p.