鳥かご


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堂深く窓の明りに仰ぎ来し十一面観音は目閉ぢても見ゆ
ドウフカク マドノアカリニ アオギコシ ジュウイチメンカンノンハ メトヂテモミユ

『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1983.2) p.


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裁ち屑を掃き寄せをればひとかたに集まるごとしわれの思ひも
タチクズヲ ハキヨセヲレバ ヒトカタニ アツマルゴトシ ワレノオモヒモ

『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1983.2) p.


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さすらいの子猫を飼ふと決めしよりすなほになれる少女と伝ふ
サスライノ コネコヲカフト キメシヨリ スナホニナレル ショウジョトツタフ

『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1983.2) p.


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鳥かごのかたちやさしく包まれて運ばれゆけり少年の手に
トリカゴノ カタチヤサシク クルマレテ ハコバレユケリ ショウネンノテニ

『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1983.2) p.


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その母に返して胸のさびしけれあたたかかりしみどり児の嵩
ソノハハニ カエシテムネノ サビシケレ アタタカカリシ ミドリゴノカサ

『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1983.2) p.


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春の雲のふくらむ見れば錯誤さへ身に華やげる日のありにけり
ハルノクモノ フクラムミレバ サクゴサヘ ミニハナヤゲル ヒノアリニケリ

『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1983.2) p.


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つつがなき明日ある如しほどけゆく航跡雲もかすか茜す
ツツガナキ アスアルゴトシ ホドケユク コウセキウンモ カスカアカネス

『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1983.2) p.