目次
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全短歌(歌集等)
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埼玉風景
白梅の花
初春の
暗渠より
つまづきて
惑はしの
うつ向きて
人のともす
会釈して
10540
初春の賑はひのなか喪の帯を小さく結べる人と連れだつ
ハツハルノ ニギハヒノナカ モノオビヲ チイサクムスベル ヒトトツレダツ
『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1984.2) p.
10541
暗渠よりまろび出でたるゴム鞠の一直線に流れゆきたり
アンキョヨリ マロビイデタル ゴムマリノ イッチョクセンニ ナガレユキタリ
『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1984.2) p.
10542
つまづきて五体ほどけしときのまに野火の匂ひにとりかこまれぬ
ツマヅキテ ゴタイホドケシ トキノマニ ノビノニオヒニ トリカコマレヌ
『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1984.2) p.
10543
惑はしの言葉のごとく大津絵にほっつり赤し椿の花は
マドハシノ コトバノゴトク オオツエニ ホッツリアカシ ツバキノハナハ
『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1984.2) p.
10544
うつ向きて印度の果実むきをればやいばはつねにわが胸に向く
ウツムキテ インドノカジツ ムキヲレバ ヤイバハツネニ ワガムネニムク
『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1984.2) p.
10545
人のともす星にかあらむ急速に灯を殖やしゆく丘の団地は
ヒトノトモス ホシニカアラム キュウソクニ ヒヲフヤシユク オカノダンチハ
『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1984.2) p.
10546
会釈して若き尼僧の過ぎしあと白梅の花のうっすらと湧く
エシャクシテ ワカキニソウノ スギシアト シラウメノハナノ ウッスラトワク
『埼玉風景』(埼玉風景同人会 1984.2) p.