目次
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全短歌(歌集等)
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来陽
地の果てまでも
灯の幅に
春雪を
ゆくりなく
棕櫚の葉の
まざまざと
たいまつは
10547
灯の幅にをりをり触れてそよぐときしづくのやうに光る花の芽
ヒノハバニ ヲリヲリフレテ ソヨグトキ シヅクノヤウニ ヒカルハナノメ
『来陽』(らいよう れれうにおん 1972.2) p.24
10548
春雪を踏み来しブーツ脱がむとし何か失ふごとき怖れよ
シュンセツヲ フミコシブーツ ヌガムトシ ナニカウシナフ ゴトキオソレヨ
『来陽』(らいよう れれうにおん 1972.2) p.24
10549
ゆくりなく窓に映りてわが見しはみづからの持つ行きずりの顔
ユクリナク マドニウツリテ ワガミシハ ミヅカラノモツ ユキズリノカオ
『来陽』(らいよう れれうにおん 1972.2) p.24
10550
棕櫚の葉の苦しきばかり鳴る夜なり地の果てまでも行かむと告げよ
シュロノハノ クルシキバカリ ナルヨナリ チノハテマデモ ユカムトツゲヨ
『来陽』(らいよう れれうにおん 1972.2) p.24
10551
まざまざとわれは木なればもろ手よりやみがたく木の花振りこぼす
マザマザト ワレハキナレバ モロテヨリ ヤミガタクキノ ハナフリコボス
『来陽』(らいよう れれうにおん 1972.2) p.25
10552
たいまつは煙しろじき曳きながらあかつきの町をつらぬきゆけり
タイマツハ ケムリシロジキ ヒキナガラ アカツキノマチヲ ツラヌキユケリ
『来陽』(らいよう れれうにおん 1972.2) p.25