目次
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全短歌(歌集等)
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底流
雲の地図(転載歌)
襟あしの
うづくまる
地に低く
蝉殻に
口径の
遠き雲の
犬と歩み
噴水に
よりどなく
忘れたる
10768
襟あしの荒れたる感じ身に残る楡のこずゑの風凪ぐときに
エリアシノ アレタルカンジ ミニノコル ニレノコズヱノ カゼナグトキニ
『底流』(底流短歌会 1975.1) 第8巻 p.13
10769
うづくまるいづこもわれの流刑地草抜けば草の臭ひがのぼる
ウヅクマル イヅコモワレノ リュウケイチ クサヌケバクサノ ニオヒガノボル
『底流』(底流短歌会 1975.1) 第8巻 p.13
10770
地に低く視線向く日とさびしみて枇杷の花散るところを過ぎて
チニヒクク シセンムクヒト サビシミテ ビワノハナチル トコロヲスギテ
『底流』(底流短歌会 1975.1) 第8巻 p.13
10771
蝉殻に残る筈なき生きもののほてりを呼びててのひらに乗す
セミガラニ ノコルハズナキ イキモノノ ホテリヲヨビテ テノヒラニノス
『底流』(底流短歌会 1975.1) 第8巻 p.13
10772
口径のかすかに一つ一つ違ふワインのグラス伏せてゆくとき
コウケイノ カスカニヒトツ ヒトツチガフ ワインノグラス フセテユクトキ
『底流』(底流短歌会 1975.1) 第8巻 p.13
10773
遠き雲の地図を探さむこの町をのがれむといふ妹のため
トオキクモノ チズヲサガサム コノマチヲ ノガレムトイフ イモウトノタメ
『底流』(底流短歌会 1975.1) 第8巻 p.13
10774
犬と歩みくまぐまを知れる川原に今朝はまだらに雪の積もれる
イヌトアユミ クマグマヲシレル カワハラニ ケサハマダラニ ユキノツモレル
『底流』(底流短歌会 1975.1) 第8巻 p.13
10775
噴水に遠くはなれし池のはた動かぬ水は雲を映せり
フンスイニ トオクハナレシ イケノハタ ウゴカヌミズハ クモヲウツセリ
『底流』(底流短歌会 1975.1) 第8巻 p.13
10776
よりどなく風に揉まれゐし糸杉の大き影なす陽の入りぎはに
ヨリドナク カゼノモマレヰシ イトスギノ オオキカゲナス ヒノイリギハニ
『底流』(底流短歌会 1975.1) 第8巻 p.13
10777
忘れたるころに一つづつ咲く薔薇を思ひやさしくなりて眠りつ
ワスレタル コロニヒトツヅツ サクバラヲ オモヒヤサシク ナリテネムリツ
『底流』(底流短歌会 1975.1) 第8巻 p.13