【堺の人】
河野通清は堺の人、始め僧門に入り、名を
叡龍と稱した。【音韻學者】深く音韻の學に通じ、多くの文獻を參考して、韻鏡に標註を加へ、享保十一年十一月
韻鑑古義標註二卷を上梓した。(
韻鑑古義標註序)【著書】又本邦の學者字彙を讀む者、多くは韻法二圖あることを知らず、其音註の他と異なるものがあるとなし、本を知らずして、或は之を怪しみ、或は之に驚いて、遂に以て正しからずとするものがあるを慨して、多年硏覈の結果、衡直の二圖を貫通して、始めて字彙の讀むべきを知り、享保十八年韻圖解卽ち
字彙卷末解二卷を著し、以て學者に便した。(字彙卷末衡直韻圖解序幷跋)其他述作の書に、
韻學律梁二卷あり、未刊の書には、
應師衆經音義韻譜十卷、
玉篇指南略釋、
切韻指南標註、
經緯玉露二卷、
韻鑑佩觹、
顧氏玉篇韻譜五卷等がある。(字彙卷末衡直韻圖解奧書)
第六十三圖版 韻鏡古義標註