十輪院は伽羅陀山と號し、前之坊と稱したが、延寶六年今の名に改めた。(堺南北寺庵本末開基宗旨改帳)【位置】九間町東二丁字寺町にあり、眞言宗御室派仁和寺末、寺格三等格院。【開基】天文九年五月權律師賢盛の創建に係り、本尊地藏菩薩は海船の濱から、賢盛の感得したものと傳へてゐる。(社寺明細帳)【本尊の靈驗】地藏經鼓吹に堺十輪院地藏治兩手攣人緣と題して、元祿三年二月の交、堺長崎屋某の妻女中風を患ひ、祈願して靈驗を感じ、病氣の平癒したことを載せて居る。(説法因緣地藏經鼓吹)【堂宇】本堂、庫裏、納屋あり、境内百八十四坪を有してゐる。(社寺明細帳)