札幌市の泥炭地は、現在、ほとんど開発され、原状を想像するのもむずかしい。しかし、泥炭地には種々の現象が引き起こされる。その顕著なものが地盤沈下現象である。泥炭地でなくとも大都市や工業地帯では、地下水の多量な汲み上げなどによる地盤沈下が起こっている。とくに軟弱な地盤からなる平野部で大きな問題となっている。札幌市においても、その防止対策を得る基礎的な調査が継続されている。それらの資料によると、昭和四十八年から五十六年までの地盤別沈下量は図8に示すようなものである。この図からもわかるように、台地や扇状地とは比較にならないが、沖積氾らん低地と比較しても、泥炭地はその二倍、場所によっては三倍も沈下しているのである。この事実は、今後の開発を進めるうえで考えなければならない重要なことである。
図-8 札幌市における地盤別の地盤沈下量