両遺跡の資料も点数は各一点で、耕作土および黒色土中からみつかったものである。3は、T四六四遺跡で出土した彫刻刀で、厚手の石刃を素材にして表面左上部に彫刻刀面設定のための剝離を入れたあと、裏面側に傾斜して細長い剝離を複数条(現在観察されるのは二条)入れ、その後幅広で短い剝離がこれを切って入っている。4は、T四六六遺跡の黒色土層中から検出された石槍(尖頭器)で、上下端部を欠損する。尖頭部が非常に長く狭長で、一方茎部は短くやや太い。入念な両面調整が入り、逆刺部(かえしぶ)から茎部の縁部は細かく刃潰れ状をなし、一部は摩滅状態を呈する。表面のパテナ(水和層)についても、他の縄文時代の資料と比較して厚いと判断されるところから旧石器時代の所産である可能性が高いものである。