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遺構の特徴

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 市内の野幌・月寒丘陵の遺跡の発掘調査では、構築時期が明らかでないものが多いが、「陥し穴」と考えられる細長い溝状の土壙(図13)がしばしばみつかる。

図-13 溝状遺構〔陥し穴〕(1・2:S263・262遺跡,3:T464遺跡,4:T151遺跡)

 平面の形態は、長楕円形ないし楕円形を呈し、大きさは長軸が一~四メートル程、深さが一~一・五メートル前後の深い遺構である。この遺構の特徴は、形態的には(Ⅰ)壙底面の長軸の長さが約二~四メートルないしそれ以上で、短軸が一〇~三〇センチ(平均二〇センチ前後)と狭い溝形あるいは長楕円形のもの(図13-1、2)、(Ⅱ)壙底面の短軸が三〇センチ前後でやや広く、逆に長軸が二メートル以下で短く、楕円形、隅丸長方形を呈するもの(図13-3、4)の二種が主体を占め、(Ⅱ)例の壙底面には、しばしば杭を打ち込んだ跡(杭穴(くいあな))がみつかる。
 土層の堆積は、大きく三つの層からなるが、最下部の壙底面に接して腐植土や枯葉、落葉などが堆積した黒色土があり、その上には壙口部や壁が崩落した土が厚く堆積している。最上層は壁などの崩落がある程度進行した後の窪みに堆積した黒色の腐植土層である。このことから、覆土中の土層は自然堆積したもので、土壙墓や貯蔵穴などのように人為的に埋め戻されたものとはまったく性格が異なっている。