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五 小括

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 札幌市内の縄文時代の遺跡をみると、量は少ないながらも縄文中期後半の土器が必ずといってよいほどみつかり、また規模が大きい例は少ないがこの時期の生活跡が比較的多く検出されている。このことは、札幌市内域でみるかぎり、この時期に人口が増えたかあるいは人間集団の活発な動きがあったことを間接的に示している。しかし、全道的にみると前述したように、土器群では後半期になると地域色が強い型式が数多く出現し、石器群でみても道内全域にわたり、後半期には石鏃、ナイフ状石器、搔器、石皿、擦石の数が減り、不定形剝片に簡単な二次加工があるものが多いだけに変化する。住居跡も同様に、定形的な形態や明確な炉跡、整然たる配置の柱穴をともなう例は稀である。