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◇N一六二遺跡(西区琴似二十四軒二条四丁目 図5)

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 続縄文時代後期の土壙墓を中心とした遺跡で、その中から擦文時代の竪穴住居跡二軒、同時代と考えられる土壙が二カ所がみつかっている。立地は、調査地区の南西側に河川跡と考えられる地形が認められるところから、宮の森方面から流れてくる現在の琴似川の一支流に沿って営まれた遺跡と考えられる。二軒の住居跡のかまどの方位はともに南南東で、一辺が約六メートル弱である。その内、第一号は改築された例(A・B竪穴)で、B竪穴床面の一部を埋めさらに拡張し、B竪穴のあった部分を貼り床して、A竪穴を構築しているもので、擦文時代としては珍しい例である。時期については、床面から完形・半完形土器が出土した第一号A竪穴は擦文時代前期の所産である。
 擦文期と考えられる土壙の中で、第一号ピット(図5-1)は壙口七六×七三センチのほぼ円形を呈し、壙底面から擦文早期のほぼ完形土器(底部のみ欠く、図5-2)、粘土塊、円形の擦石などがみつかったもので、擦文早期の例と考えられる。また、第九号ピット(図5-3)は覆土中から擦文早期の土器片が出土しただけの例であるが、壙口部での大きさ二七七×六四センチ、深さ四〇センチを計る長楕円形の土壙で、墓壙とすれば埋葬方法は伸展葬の可能性がある。

図-5 N162遺跡の土壙(1・2:第1号ピット,3:第9号ピット)