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紡錘車の出現

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 擦文時代になると土製の紡錘車が一般的に認められるようになる。紡錘車は、中心の穴に軸をさしこみ、繊維をつなぎ合わせた糸(績(う)んだ糸)をむすんで空中で回転させ、撚りをかけるハズミ車の役割をするものである。
 道内で紡錘車の最も古い資料は、札幌市北区K一三五遺跡四丁目地点Ⅶc層出土の平板状の例である。擦文時代に入ると、擦文早期の本州系の土師器しか出土しない遺跡で、古墳時代に盛行した截頭円錘形の例がみつかっているが、同前期以降になると、径五~六センチ、厚さ一・五センチ、重量五〇~八〇グラムほどの平板状(円盤状)のもの(写真1)が主流になる。このことから、藤本も推測しているように、その系譜については古墳時代の型式が変化したものか、あるいは弥生時代の型式を継承したものかを含めて今後究明されなければならない。

写真-1 土製紡錘車(K460遺跡)