本巻が対象とする日露戦争以降の時期は、以上に述べた札幌の農業の特質を鮮明にしながら農業生産が拡大していくが、他方では都市近郊的な要素も現れてくる。野菜と牛乳生産の拡大である。北海道の先進地としての農業と都市近郊的な農業の交錯のなかで、農業生産が進展していくのである。以上の特殊性を頭におきながら、第三節と第四節とで農業と畜産の発展過程をみていくこととしよう。