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その他の産業組合と農会

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 以上の「燕麦組合」を含めて、大正九年の札幌の産業組合二〇の概況を示したのが表27である。もっとも設立が古いのは、軽川産業組合(購買販売組合)であるが、これは前田農場(一六七四町、うち小作地二三二町、小作四二戸、大正元年 北海道農場調査)の小作人を組織したものである。これを含め、札幌村、篠路村、琴似村はほとんどが「燕麦組合」である。
表-27 札幌の産業組合の概況(大9,単位;円)
名称事業設立組合員数払込済出資金借入金貸付金貯金販売購買
札幌村農大第三信購販大 369人5261,4613,64054253,3176,969
札幌村第一信購販大 71401,41095,4937,622
丘珠信購販大 9363253002,107
篠路村烈々布大 210673016,040
篠路学田大 4181618,735
篠路農場購販大 410076368,4686,037
琴似村琴似購販明452803,080137,1521,570
手稲村軽川購販明37428401,00029,5135,229
上手稲信購販大 21552,8762,0225,6753,791
軽川増資大 83675613,90013,742
豊平町簾舞農大信購大 4691,9452,18426
砥山大 5211,1002,193
簾舞信購販大 510417,3009,25424,6865,68811,92724,499
石山信購販大 6534,1403,3251941,328
平岸信購大 6878,7005,81064917,612
丸重吾沢大 6572,8854,050178
北通信購販大 7275035663,9981,927
厚別信購大 91191,4906,506
白石村白石北郷購販大 2423455,2192,656
白石信購販大 71486003002964,645
1.事業区分については,それぞれ信が信用,購が購買,販が販売を示す。
2.北海道庁内務部『産業組合要覧(第11次)』により作成。

 これに対し、産業組合がもっとも多い豊平町(八組合)については、信用事業と購買事業の兼営形態が多い。組合員戸数も一〇〇戸以下がほとんどであり、借入金もなく出資金に若干の貯金を合わせてささやかに貸付を行い、肥料等の購買を行っている姿がうかがえる。しかも、設立は第一次大戦期がほとんどである。いまだ政策的な支援もなく、部落の有力者が集まってともかく産業組合を設立したという段階であることがわかる。ここでも、本格的な事業の拡大は次の時期に持ち越されたということができる。
 他方、こうした産業組合を育成した機関が農会であったが、戊申詔書以降の産業奨励のなかでその活動がやや活発となってくる。明治四十一年の各村の会員数と予算額を示すと以下のようである。札幌村―四五〇人・二三六円、豊平村―一〇九九人・一一五円、白石村―六〇八人・二八八円、手稲村―四七二人・一八六円、藻岩村―三六八人・一八〇円、琴似村―八二五人・四〇〇円、篠路村―四七六人・一七九円(北タイ 明41・6・3、7・28)。大正期になると、農産品評会や講習会などが郡農会の指導を受けて開催されるようになるが、この段階では下部組織をもっておらず、その事業内容は郡農会の下請け的な性格を払拭することはできなかった。