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予選による弊害

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 次に同じく表から定員と候補者数を比較することによって、選挙戦の模様をみてみよう。
 第一回選挙は、定員三〇人に対して候補者六〇人という激戦ぶりであった。しかし第二回目以降の選挙では予選が行われたため、第一回目のような激しい選挙戦はみられなくなった。予選を行うことにより、選挙における混乱を避けることはできたが、同時に有権者の選挙に対する無関心もひきおこした。定員と候補者数が同じ場合、つまり対立候補がいない選挙についてみると、第三、四、五回選挙がそれにあたる。それらは各回とも選挙運動が平穏のあまり、得票数が法定数(商業会議所議員選挙規則第二八条 月報第壱号)に達しないことが懸念されたほどであった。各回とも投票日には、各派の運動員が有権者の狩出しに務めたため、得票数が法定数に達しないことは免れたが、対立候補がいない選挙は選挙権者被選挙権者双方の惰気を招くとして、予選の是非が問われた(北タイ 大2・2・13)。
 このような中、予選に洩れた者から、あるいは予選とは別に新たに候補者が現われることもあった。第二、六、七回選挙のように候補者数が定員を上回る場合である。まず第二回選挙では、候補者が定員より二人多い。これは、予選に洩れた小六亀吉と三野伊平が対立候補として出たためであった。第六回選挙では、荒物商の中駄直造が二級議員に、第七回選挙では、憲政会系の上野常造が三級議員に立候補した。選挙結果は各回とも予選候補者が一人落ち、小六亀吉、中駄直造、上野常造が当選を果たした。第七回選挙では、憲政会系の予選候補者が落選したため、選挙結果の党派別の内訳に変わりはなかった。