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琴似・札幌村の例

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 また番号六は、小作人Tが昭和七年から十二年までの六年間反当り五円の契約で耕作していたが、契約期間満了とともにその更新を求めたTに対し、地主は「他ノ空地ヲ貸与スベキニ付一先ズ該地ヲ明渡スベシ」と説明し、これを了承したTに対し、地主はその後「空地」を他人に貸与したことから生じた争議である。この場合は、①昭和十三年度の一年間のみ契約を更新し、保証人を立てて小作を行うこと、②十三年十一月三十日をもってTは小作地を明渡し、以後は「一切ノ干係ヲ絶ツコト」という調停が下されている。
 次の番号七のケースは、争議地がもともと小作人の所有地であったのを、「家計困難ノ為売却シ小作ヲ為ス」という事情があった。小作料は反当り五円五〇銭である。ところが、地主が突然土地の明渡しを求めたもので、この両者は親族関係にあった。そして数回の話し合いの後に、「小作地中一町五反ヲ地主ニ返還シ、残地ヲ従来通リ耕地スルコト」で解決をみたのである。