同村を取り巻く地理的環境から、農地の多くは札幌と小樽の地主が所有するケースが多かった。同村の小作農民は「耕作者に土地を与えよ」と熱気に燃え、第一回の農地委員選挙で選ばれた小作層委員の活動に満足せず、リコールが起こされたこともあった。買収にあたっては、土地台帳の地目と土地の現況とが異なるものが全体の三割以上もあり、認定買収に多くの困難が伴ったことである。このため現地調査を行ったが、一人の耕作者が数筆の土地を耕作している場合、一筆毎の土地境界が明確でないので、非常に困難だったという。また、農地でも牧野でも認定買収が争いの種となり、道庁の現地調査で訴願の却下または調停として処理されたが、解決するまでに二年間もかかった例もあった。ともあれ、二十二年三月の第一次買収から翌二十三年三月の第五次買収までに農地全体の約八三パーセントを買収した。