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付加価値の測定

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 工業統計調査では、産業の発展度を示す指標として、付加価値という概念が用いられている。付加価値額の算出方法は表4の注のとおりである。付加価値率は、業種によって異なり、①出版・印刷②衣服・その他繊維③輸送用機械④ゴム⑤化学の順で高い。一方、低い業種は①鉄鋼②食料品③パルプ・紙製品④繊維⑤木材・木製品である。素材型で加工度の低い業種が付加価値率が低く、その逆は高いことがわかる。次に付加価値生産性をみると、軽工業が小さく、重化学工業が大きい傾向がある。これは軽工業が労働集約的であり、労働生産性が低いのに対し、重化学工業は機械化が進んでいるため資本集約的であり、労働生産性が高いことを示している。このころの札幌市工業の課題は、軽工業においては機械・設備の充実によるコスト削減であり、重化学工業においては付加価値額を上げるような製品の高度化、原材料費、設備の節約であった。
表-4 製造業の付加価値(昭和44年)(単位:万円,人)
生産額
(A)
付加価値額
(B)
従業者数
(C)
付加価値率
(B/A)
付加価値生産性
(B/C)
食料品5,190,9661,634,58210,66331.5%153
繊維130,35642,25755332.4%76
衣服・その他繊維201,968100,92288650.0%114
木材・木製品489,032177,4541,33436.3%133
家具・装備品714,110312,4102,21243.7%141
パルプ・紙製品817,584260,4221,43131.9%182
出版・印刷1,897,7031,106,5896,47958.3%171
化学136,98164,00934446.7%186
ゴム357,630168,1601,96647.0%86
窯業・土石製品539,898219,3621,28040.6%171
鉄鋼471,083126,00471826.7%175
金属製品1,348,467532,1563,04139.5%175
機械1,006,192421,1262,34441.9%180
電気機械129,56058,32643245.0%135
輸送用機械117,49658,31333749.6%173
その他318,657127,88699840.1%128
合計13,867,6835,409,97835,01839.0%154
『札幌市統計書昭和46年』
1食料品,木材・木製品,家具・装備品,合計の生産額は,内国消費税を差し引いた数値。
2昭和44年工業調査の従業者20人以上の事業所について集計したもの。
3生産額=出荷額+(年末在庫額-年初在庫額)+(半製品・仕掛品年末額-半製品・仕掛品年初額)
4付加価値額=生産額-原材料-内国消費税-減価償却額
5付加価値生産性とは従業員1人当たり付加価値額。

 さて、付加価値率は、昭和三十二年からほぼ累年で明らかになっている。表5によると、付加価値率は上昇する傾向がある。ただし、付加価値額を求めるための調査は、一定規模以上の工場についてのみ行われており、その基準は二度変更されて、零細工場は含まれなくなっている。札幌市製造業における付加価値率の上昇は、調査対象が引き上げられたことによるものなのか、それとも加工度の高まり、製品の高度化を示すものなのか、残念ながらこの表からは判断できない。
表-5 製造業の付加価値(累年)
生産額
(万円)
付加価値額
(万円)
付加価値率
(%)
備考
昭323,017,6971,050,57534.84人以上工場
 333,416,0891,000,18233.04人以上工場
 343,865,2871,175,62034.54人以上工場
 354,726,2471,343,95332.44人以上工場
 365,790,9831,697,64533.64人以上工場
 376,681,4102,101,61335.54人以上工場
 387,367,0452,567,31539.710人以上工場
 398,633,6572,786,07136.610人以上工場
 409,270,9933,218,26539.110人以上工場
 4111,918,7804,039,22637.210人以上工場
 42
 43
 4415,458,0605,409,97839.020人以上工場
 4517,682,9466,029,18037.820人以上工場
 4619,317,7216,997,60039.420人以上工場
 4721,468,5707,729,17139.220人以上工場
札幌市『統計月報』,『統計季報』,『札幌市統計書』各号,各年。
付加価値率は,付加価値額/生産額-内国消費税。昭和32年は内国消費税を差し引いた生産額。他の年次は表示した生産額から改めて内国消費税を引いて計算された原資料の数値を採用した。