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北海道労働金庫の業況と不良資産問題

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 昭和二十六年、北海道勤労信用組合として創立し、二十九年、労働金庫法に基づく労働金庫に移行した北海道労働金庫の三十九年までの預貸状況を表24でみることにしよう。三十年に預金が全道で一四億一〇〇〇万円、うち札幌で二億一〇〇〇万円から、三十九年にはそれぞれ五九億九〇〇〇万円(四・二倍)、九億六〇〇〇万円(四・六倍)となっている。同様に貸付金は全道一〇億一〇〇〇万円、札幌二億八〇〇〇万円から全道三八億一〇〇〇万円(三・八倍)、札幌一一億四〇〇〇万円(四・一倍)へと増大している。全道に対する札幌の割合から明らかなように、札幌は一〇パーセント台の預金にもかかわらず、ほぼ三〇パーセント台の貸付金を受けているのが特徴となっている。
表-24 北海道労働金庫預貸状況(昭和26~47年)
(単位:千万円,%)
全道札幌
預金
(A)
貸付金
(B)
預金
(C)
C/A%貸付金
(D)
D/B%
昭26858100.05100.0
 2730211033.3838.1
 2864491625.01224.5
 2995681920.01420.6
 301411012114.92827.7
 311811452714.94329.7
 322141772913.65832.8
 332552073714.57435.7
 343122444213.59338.1
 353462604011.69837.7
 364052874912.110938.0
 374723506213.110530.0
 385143068115.811035.9
 395993819616.011429.9
 4071351412617.714628.4
 4185470615217.820028.3
 421,02391520720.229031.7
 431,2061,07926121.637734.9
 441,4931,38235223.655740.3
 451,7881,55842323.756536.3
 462,1561,80749823.163134.9
 472,6142,37662824.084535.6
北海道労働金庫『25年のあゆみ』238から241頁より作成。
昭34年まで年度末,35年から年末。

 当期利益金は三十年三月決算時の五四〇万円から順調に伸びて三十六年三月時には約二九〇〇万円となったが、翌三十七年には四〇万円台に激減し、四十二年まで四〇~五〇万円台で低迷した。これは三十年に引き受けた某石炭販売会社の手形が倒産によって不良資産と化したことをきっかけに、三億八〇〇〇万円にのぼる回収不能資金が発生したことによる。しかし、この経営危機に対しては長期再建計画が策定され、連合会からの資金借入(昭38・1一億円)、救済資金の受け入れ(昭38・2一億五〇〇〇万円)に始まって、「当時の第一線職員の、涙ぐましい活動」などにより、「実質四カ年半で不良資産の償却を完全におえることができた」(北海道労働金庫 25年のあゆみ)のである。