この間、金融の構造、環境あるいはシステムに様々な変容が起こってきた。まず資金過不足パターンは、従来の資金余剰の個人部門から資金不足の民間企業部門へという単純なものから資金不足に政府公共部門が加わるというパターンに変容し、長期国債の累積が恒常化した。民間企業では好調な利潤蓄積により自己金融が進展して資金不足が縮小し、都市銀行では預貸率が低下してオーバーローンが解消した。また外国資本の日本進出と日本の金融機関の海外進出が本格化し、金融の国際化が進展した。このような変化に対応して中小企業向け貸出や個人ローンに力を入れるなど、銀行の大衆化への路線転換が見られ、増大する事務量処理のためコンピューターを導入してオンライン化をはかるなどの金融の機械化も進展した。
政府は、金融の正常化と効率化をはかるため、四十二年九月に統一経理基準を導入し、四十三年六月には金融二法(中小企業金融制度の整備改善のための相互銀行法、信用金庫法等の一部を改正する法律、金融機関の合併及び転換に関する法律)を施行、さらに四十三年十二月には店舗行政を緩和(店舗配置の自由化)、四十五年二月には配当規制を緩和(配当の自由化)するなど次々と効率化策を実施した。なお預金保険制度の確立がはかられ、四十六年三月に「預金保険法」が制定され、七月には「預金保険機構」が発足している。