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戦後観光のあゆみ

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 終戦直後、観光事業は戦後復興と軍需産業からの転換のために取上げられる傾向が強くなり、政治・経済・社会環境と密接に関わって発展してきた。その経緯を概観すると、昭和二十年代すなわち経済復興期は、観光事業の成立期であり、観光が市民生活の中に復活・定着していく時期である。三十年代すなわち高度経済成長期は、観光事業の発展期であり、観光が大衆化・広域化し、全国的に観光ブームが到来した。そして四十年代には観光事業の転換期を迎え、観光は多様化していく(月刊観光 No.153)。
 札幌市では二十年代前半に、戦前から行われていた観光行事が復活し、市創建八〇周年自治五〇年記念事業を機に、復興から振興へと移行している。続く三十年代には、民間航空機の開設をはじめとする交通網の整備が観光客の増加と広域化をもたらし、新たな観光資源も開発された。さらに四十年代には、観光客が若年者層にも広がり、カニ族やマイカー観光といった新たな旅行形態が誕生している。以下では、札幌観光協会の設立にさかのぼって、〝観光都市札幌〟の発展経緯をみてみよう。