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農村電気施設導入事業

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 「懸命な電源開発努力によって電力危機をようやく乗り切った当社は、一方で容易には解決できない大きな課題を抱えていた。広大な北海道の各地に散在する未点灯地域への対応である。(中略)二十六年五月時点での北海道の未点灯世帯は十二・六パーセントであった」(北のあかりを灯し続けて)。
 政府は、昭和二十五年に農山漁村小水力発電に対する援助を開始したのを手始めに、二十六年には開拓地電気事業導入に対する補助制度を新設し、二十七年十二月、農山漁村電気導入促進法を制定した。こうした措置により、開拓地の未点灯集落は、共同受電方式や共同自家発電方式などを採用して、未点灯解消に自助努力した。
 こうして、二十七年の『事務概況』に開拓地電化施設対策という項目が登場し、その後は無灯火農家の電化促進、電気導入事業、農村電気施設導入(改修)事業などと名称を変更しつつ、国・道・市の補助ないし融資を受けて、四十二年まで事業が実施された。表51はこの事業の概要を示したものであるが、おそらく同年に札幌市における無灯火農家は解消されたものであろう。
表-51 農村電気施設導入(改修)事業の概要(単位:千円)
受益
地区数
受益戸数事業費備考
総事業費市補助金
昭2711172,000東米里
 31130650盤渓
 32128180中沼
 33130360盤渓
 3421471,550東米里,盤渓
 36712410,1511,112中野西部,下福移,丘珠東中部,真駒内開拓,石山開拓,簾舞四区,藤野二区
 375292,539710上野幌,藤野四区,石山開拓,常磐開拓,発寒開拓
 38423125,5244,908湯ノ沢,滝野,中沼,厚別開拓
 4037213,8482,536西岡,真栄,盤渓
 413245,5901,848真栄,有明,常磐,白井川
 428194,9041,608真駒内,南有明,宮ノ森・拓北・南ノ沢,石山・豊滝,月寒・澄川,発寒,野津幌,石山・常磐
『札幌市事務概況』による。
 補助金には融資を含む場合もある。なお,昭37には表示したもののほかに,小滝沢,野津幌,厚別,真駒内,小野幌,発寒,南ノ沢の7地区の農家16戸が風力発電施設事業を実施した。総事業費は993(千円),市補助費は250(千円)であった。

 なお、合併直前の豊平町における本事業のデータによれば、三十年に無灯火農家総数三一七戸(うち一般農家一四三戸、開拓農家一七四戸)であったものが、三十三年には同じく一五四戸(二八戸、一二六戸)になった(昭35豊平町勢要覧)。