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農業構造改善基礎調査

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 札幌市は、三十八年に農業構造改善事業予備計画地域に指定されたが、「事業実施にあたり問題点があるので、国や道の取扱い要綱にとらわれずに、本市自体の農業振興計画を樹立すべく基礎的な調査を行い、営農類型を策定した」(昭40事務)。しかし、計画地域指定の最終年度である四十一年を迎えても、遂に事業実施に踏み切るには至らなかった。
 問題点とは何か、それは、「土地基盤の整備は、農業の生産性向上を図る基本的手段であり、関係機関もつとめて力を注いでいるが、都市化の進行は抜本的な事業の実施をむずかしくしている。(中略)事業の内容が余りにもセット的であり、特に土地基盤整備事業の比重が高いことが、都市域内にあって極めて流動的であるとともに、経営形態が多様な本市の農業の実態にそぐわないことが原因であった」(札幌市の農業昭43)。札幌市ほどの規模の大きな農業地域を抱えていながら、農業構造改善事業を実施しなかった自治体は極めて珍しいが、その原因は本市の農業のあり方そのものに由来していたわけである。