昭和二十三年七月、占領軍から社会保障制度に関する改善勧告が政府に対して出され、社会保障制度審議会設置法を制定、翌年社会保障審議会が発足した。この審議会で、最低生活の保障、保護請求権の確立、保護欠格条項の明確化などを勧告、この勧告に従って二十五年、生活保護を「国民の権利」とした新しい生活保護法が施行された。
社会保障とは、公的扶助の制度または社会保険の制度によって、国民の生存を確保することをいう。つまり国民が所得の減少や喪失によって、生計に支障をきたし、ひいては生存がおびやかされるような社会生活上の事故(病気・老齢・失業など)に遭遇したとき、所得保障、医療保障、その他のサービスを行って、生活を保障しようというものである。このような公的扶助制度として生活保護の制度が生まれた。生活保護は生活保護法により、生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮する程度(需要の態様・性質など)に応じて必要な保護を行い、最低限度の生活を保障することを目的としている。二十五年五月四日の新しい生活保護法の公布・施行を受けて、『道新』の社説でも「生活の保障と自立の助長」として、保護法第一条の法の目的と精神を論じ(昭25・5・24)、「社会保障制度要綱がまとまる」として、「あらゆる困窮者」に「国家が全面扶助」として、国家責任の原則を掲げている(昭25・6・11)。札幌においても社会保障制度に関する公聴会が開催され、当日の質疑内容をとおして、当面の課題として社会調査機関の設置と法の実施担当者・社会事業施設職員の資質向上のための養成機関の必要性を新聞の社説で論評している(昭25・8・6)。