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高齢者福祉事業

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 札幌市の戦後の人口増加を見た場合、二十五年から四十五年の二〇年間で三九万三七五六人から一〇一万一二二人と、二・五六倍に増加した。これを五年ごとの国勢調査年の人口総数と六五歳以上の人口の比率を比較すると次のようになる(札幌市の人口 昭和45年国勢調査報告書)。
  昭和25年 30年 35年 40年 45年
総人口(A)三九三、七五六四八七、三九一六一五、六二八八二一、二一七一、〇一〇、一二二
65歳以上(B)一四、五一四一八、一八三二二、九一八三二、四一四四六、二五〇
対人口比(B/A)三・七 パーセント三・七 パーセント三・七 パーセント三・九 パーセント四・六 パーセント

 このように、三十五年を境に高齢者人口が三・七パーセントから四・六パーセントへと高まっている。これは全国的な傾向である平均寿命の延長により、三十五年以降増加傾向が著しく、五年ごとの増加数をみても三十~三十五年が二六パーセント(四七三五人)、三十五~四十年四一・四パーセント(九四九六人)、四十~四十五年四二・七パーセント(一万三八三六人)と、実数、率ともに増大しており、高齢者の社会保障、成人病予防など福祉対策が大きな課題となってきたことを示すものである。ちなみに、四十六年度の高齢者の割合は五・七パーセントと、高齢化の速度は早まっている。
 戦後の高齢者の施策としては、二十六年、現在の「敬老の日」の前身「としよりの日」が設けられたのにはじまり、三十八年八月老人福祉法が施行され、札幌市においても、高齢者が経済的、精神的に安心して暮らせる福祉対策の充実を図るためにさまざまな取り組みが開始された。老人家庭奉仕員の派遣(四十一年度二〇五世帯へ派遣)、地域老人クラブ(三十九年度三三クラブ)に対する助成、老人福祉施設等収容者の慰安等である。四十六年の『社会福祉事業の概要』によれば、今後老人問題は病弱困窮の老人保護に止まらず、健康老人に対する施策をも含めて高度な福祉社会の建設を社会全体の問題として総合的な対策を考究すべきである、と述べている。具体的には、家庭老人の生活指導、病弱老人に対しての家庭奉仕員活動、老人医療の無料化、老人福祉相談指導、さらには、医療住宅、就職保障等、老人福祉の向上をめざしていた。