写真-3 モデルスクール一条中学校の公開授業
ホームルームとは、学校における課外活動や生徒活動の一環としての単位集団である。教科担任制をとる中学校や高等学校では、教師と生徒の密接な接触が難しく、科目の選択制などのために、生徒が学校内に安定した居場所や仲間を欠くことになりやすい。そのため、ホームルームを設定し、担任教師をここに配して毎日、指定された時間に生徒と教師が集まるようにしたのである。一条中学校では二十三年四月に予備的導入を行い、十月より本格的に導入した。三五の教室をすべて学科教室にして教師を配置し、職員室を廃止して、教師は常時学科教室に勤務し、生徒は時間割にしたがって次々と教室をまわって授業を受けるのである。その上で教師は、学科教室で訪れる生徒に授業をしつつ、別に自分も生徒を担任して自分の学科教室で生徒に生活指導を行った。
週五日制は、平成十四年度から導入されるものとは違い、土曜日に教師は勤務しているが、生徒は授業がない、という制度である。生徒にとっては自主的な勉強をする日となり、教師にとっては教材研究や会議のための日となった。このようなシステムを軍政部は学校視察や訪問といった形で指導した。モデルスクールに指定してから、二十七年までの間に、延べ二五回、一条中学校を訪れている。また翻訳書の提供や指示といった情報提供も行った。研究会の前には軍政部員による模擬授業も行われた。軍政部による視察は、占領中期から後期になると、指導的・援助的な色彩にその目的が変化したのである。
これらの実践は、公開授業を含んだ研究会や研究叢書によって、札幌市を含めた道内の多くの教師に示された。しかし、直接的なホームルームシステムと週五日制を導入した新制中学校はなかった。新制高等学校では、道立札幌第一高等学校(現札幌南高)などでホームルーム制が一部導入されたぐらいであった。