初代常任指揮者として札響演奏会を数多く指揮してきた荒谷正雄は、創立から七年を超えた昭和四十三年十月で退任し、四十四年四月に山岡重信が札響指揮者に就任した。同年八月からは西ドイツ(当時)のバンベルク響首席チェロ奏者だったペーター・シュバルツも指揮者となり、翌年四月には山岡が退任してシュバルツが第二代常任指揮者となった。シュバルツの札響指揮者就任は、日本を代表する指揮者岩城宏之が札響事務局長の谷口静司に紹介したのがきっかけとなって決まったもので、シュバルツは家族ともども札幌に住んで、市民に親しまれた。
札響はシュバルツの指導のもと、ブルックナーの交響曲などドイツ音楽を主体としたプログラムでめきめき力をつけ、四十五年にベートーベン生誕二〇〇年を記念して東京で開かれた連続演奏会への出演では、「とってもきれい」「美しい演奏」と高い評価を得た。この年には札幌でも独自にベートーベン作品の連続演奏会を行い、世界的ピアニストのウラジミール・アシュケナージを独奏に迎えるなどした。