終戦後間もなく、読売・朝日・毎日の東京三紙は、それぞれ北海道進出への足がかりとして、「小樽新聞」(読売)、「函館新聞」(朝日)、「北海日日新聞」(毎日)と資本提携、社員の出向、取材提携等を行ったが、本格的な進出までには至らなかった。
三紙が札幌での現地印刷を開始したのは、三十四年になってからである。二月に朝日新聞社が北海道支社を設置したのをきっかけに、読売、毎日もそれぞれ支社や発行所を設け、五月には札幌での印刷発行を始めた。これに対し、朝日新聞社の現地印刷は一月遅れの六月となったものの、ファクシミリによる印刷方式を採用したことで、世界的にも注目を浴びた。先例として、三十一年に「ニューヨーク・タイムス」がサンフランシスコでファクシミリによる現地印刷を行っているが、これは試し刷りに過ぎず、朝日は日刊紙として初めてその実用化に成功した(日本新聞通史)。