札幌市では昭和四十五年に市電・市バスの運賃改定を図ったが、四十六年度決算でも市電・市バス・地下鉄の交通事業は四億八〇〇〇万円の赤字を生んでいた。市長は四十八年二月二十一日の市議会に市電・市バス値上げ案を提案した。値上げ反対の請願四件(署名総数一六万筆以上)が提出され、社会、公明、共産が議案に反対したが、三月二十六日の本会議で自民、新政クラブの賛成多数で可決された(十三期小史)。
四十九年度も一般交通事業収支は改善せず、三二億五〇〇〇万円の純損失を出した。市長は五十年九月十六日市議会に料金改定案を提出した。議案は企業会計決算及び議案審査特別委員会に付託され、十月七日に公聴会が開催されることとなった(十四期小史)。
この日午前九時十五分過ぎ、公聴会場である市議会議場前(市庁舎一八階)に、値上げ反対のゼッケンを付けた革マル系学生約六〇人が押しかけ、値上げ反対を叫びながらジグザグデモを行ったため、議場辺りは騒然とした。市は札幌中央署機動隊に出動を要請し学生に警告を出したところ、学生たちは一八階から一階まで「駆け足デモ」で退去した。午前十時、公聴会が開会された直後、学生風の傍聴者五人が「交通料金の値上げを許すな」と叫んで議場内にビラ四〇枚を投げ入れたが、市警備員に強制退去させられ、賛成四名、反対四名の公述人による公聴会が実施された(道新 昭50・10・7夕)。
十月八日の同委員会では、社会、公明両党の委員により暫定料金一年延長を求める修正案が共同提出されたが、翌九日にこの社公の修正案と社公共の請願二本、共産の請願二本は賛成少数で不採択となり、市の条例案が自民、新政クラブの賛成多数で可決された。十三日の本会議でも同様の採決結果となった。
続いて五十一年二月二十四日、市長は水道料金と下水道使用料の改定案を含む二四件の使用料・手数料改定案を市議会に提出した。社会、公明が議案撤回と再提出を求める動議及び修正案を提出したが否決され、議案は自民、新政クラブの賛成多数で可決された(以上、十四期小史)。