第三期板垣市政に入った昭和五十四年七月五日にも交通料金改定案が市議会に上程され、社会、共産は反対したが、十六日の本会議で自民、新政クラブ、公明による賛成多数で可決された。
五十五年二月二十六日には水道料金と下水道使用料の改定案が、二一件の使用料・手数料改定案とともに市議会に提出され、それぞれ第二部、第一部予算特別委員会に審議が付託された。公聴会を経て、三月二十五日に社会、共産の委員一〇名から議案撤回と再提出を求める動議が提出されたが、反対請願とともに社共の賛成少数で否決された(十四期小史)。
本会議は三月二十七日に開会された。午後一時開会の予定であったが、午前十時ごろ札幌地区労を中心とする札幌地区春闘会議は市庁舎前で二二〇〇人による公共料金値上げ反対総決起集会を開き、その後代表が市長、議長に対して値上げ撤回交渉に臨んだ。市庁舎一階ロビー、一六階正副議長室前、一七階議員控室などで座り込みが行われ(道新 昭55・3・27夕)、議場前では八八〇人がピケを張って議場を封鎖していた。正午に市長、議長との交渉は物別れに終わったが、座り込みは続けられたため、午後一時二十分、板垣市長と中山豊士議長は道警に警官隊出動を要請した。出動した道警札幌中央署員や機動隊一五〇名は、座り込みを続ける組合員に退去警告を出したが聞き入れられず、二時過ぎに実力排除に及んだ。理事者と議員たちは警官隊に守られながら入場し、午後三時十九分に本会議がようやく開会された。二〇〇人の組合員が詰めかけた満員の傍聴席から罵声とヤジが飛び交う騒然とした状況で会議は行われた(道新 昭55・3・28)。社会、共産から議案撤回、再提出を求める動議が提出されたが否決され、議案は自民、新政クラブ、公明の賛成多数で可決された(十四期小史)。四十一年以来一四年ぶりの市議会への警官隊導入という異常な事態が生じたことは、公共料金改定問題の市民生活への影響の大きさを表すものであった。
板垣市政第二期までは、社公共あるいは社公の共同による公共料金改定案撤回動議や修正案がたびたび提出されたが、第三期以降になると公明党は板垣支持に回り、料金改定案は自民、新政クラブ(保守系無所属中心)、公明三会派の賛成で市議会を通過している。市議会の対立構図は、自民・新政クラブ・公明対社会・共産という形になった。