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五十一年昇給延伸問題

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 札幌市の職員給与は、政令指定都市移行に合わせて設置された市人事委員会によって勧告が出され、それを受けて翌年の改定が行われるようになった。物価上昇と民間給与の改善に対応して、この時期の職員給与は大幅な上昇を見せた(表6)。
表-6 札幌市職員数と給与対前年度上昇率(平均)等の推移
全職員数平均年齢平均給与月額上昇率
昭4711,94134.169,016
 4813,12734.180,97417.3
 4914,14533.995,98218.5
 5014,66534.7128,67134.1
 5115,11735.1145,27212.9
 5215,09535.8157,3658.3
 5315,52036.1170,3288.2
 5415,87836.4182,2666.7
 5516,24436.7193,3415.8
 5616,64237.1206,0146.3
 5717,02037.3218,6686.1
 5817,04037.9223,1712.1
 5917,22238.4231,4783.7
 6017,32238.9244,2765.5
 6117,42239.3262,5747.5
 6217,45439.9275,7135.0
 6317,68740.2283,1402.7
平 117,80140.5292,6713.4
  217,92940.8305,1894.3
  318,08141.1320,2784.9
  417,80941.2334,1414.3
  517,79941.6350,2724.8
  617,78242.0363,9983.9
  717,76042.4373,5052.6
  817,60142.6381,3432.1
  917,54242.7388,0371.8
 1017,43243.1395,0531.8
 1117,25643.5401,9661.8
 1216,90143.8402,4850.1
 1316,65343.9403,1020.2
 1416,04543.9400,152-0.7
 1515,89544.0390,065-2.5
札幌市人事委員会『人事委員会年報』(平3、平7)、同委員会『職員の給与に関する報告及び勧告』(平8~15)。平均給与月額とは給料、扶養手当、調整手当の合計額。いずれも当該年の4月1日現在のもの。

 しかし、第一次オイルショック後の昭和四十九年は戦後初めてのマイナス成長率を記録した年であり、国、地方を通じて大幅な歳入不足を生じた。自治省は五十年五月十六日付けで職員数抑制、昇給期間短縮・高初任給・渡り制度・期末手当プラスアルファ等の適正化、国家公務員給与とのバランスなどを内容とする給与関係経費抑制の次官通達を都道府県に出した。札幌市もこれに沿う形で人件費抑制策を取った。
 一つは職員削減であり、同年九月から来客への給茶サービス取りやめにより臨時職員の三分の一を減員した。五十年度の職員新規採用試験は保母、栄養士、学校事務、キーパンチャーを除き中止された。翌年は一般事務職大学の部と高校の部の採用試験が復活したが、一般事務職短大の部と一般技術職は引き続き採用が中止された(人事委員会年報 昭50)。
 また五十年十二月、市は年末手当の減額と一二カ月の昇給延伸を組合に示した。前者は提案どおり妥結したが、後者は継続審査となった。翌年三月初旬、市は一二カ月昇給延伸に加えて全職員の五七歳勧奨退職の制度化を組合に提案し、四月一日には管理職の五七歳勧奨退職要綱を作成、実施した。これに対して、市労連は四月九日に一時間ストを実施した。
 五十一年六月市議会第二回定例会に一二カ月昇給延伸案を提出する意向を市長が示したため、市労連は同月十五日(札幌まつり)にストを行うと宣言した。労使交渉は十四日未明に決裂し、同日、半日ストが実施されたが、市長は同案および六〇歳以上職員退職手当改定案を同日市議会に提案した。両案は総務委員会で賛成少数で否決されたが、本会議では賛成多数で可決された。同時に市議会はスト回避の要請文を全会一致で採択し、市長に提出した。市労連は十五日に全日ストを実行したため、同日北海道地方労働委員会が職権斡旋に乗り出し、昇給延伸は十月一日以降とすること、次期昇給を三カ月短縮し、もう一度三カ月短縮で昇給を実施することという内容で調停が成立した(以上、十四期小史)。