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保革相乗り市政の崩壊

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 平成十五年四月十三日の市長選は、七人が立候補するかつてない戦いとなった。保守系では自民・保守新推薦の道見重信(前自民党市議)、秋山孝二(財団理事長、医薬品流通会社副社長)、前桂市長後援団体が支援する坪井善明(早稲田大学教授、前北海道大学教授)の三候補に分裂した。他に民主・市民ネット推薦の上田文雄(弁護士)、中尾則幸(元参院議員)、山口たか(前市民ネット市議)、共産推薦の佐藤宏和(団体役員)が立った。公明党は自主投票とした(道新 平15・4・8)。今回桂市長は札幌経済界の要請に反して後継指名を行わなかった(道新 平15・4・14)。また自民党の候補者選びがまとまらず、政党との距離を置こうとする候補が無党派を名乗って複数出馬した。
 結果は、上田一七万二五一二票、中尾一六万八四七四票、道見一五万九七八七票で、秋山、坪井、山口、佐藤は一〇万票に達しなかった。投票率は過去最低の五七・三パーセントで、どの候補も法定得票数(有効投票総数の四分の一)を超えられなかったため、再選挙となった。
 四月十四日、自民党幹事長山崎拓は推薦候補道見重信の差し替えの意向を表明したため(道新 平15・4・14)、自民党札幌市連合会は経済団体首脳と協議を進め、四月二十八日、同党前衆院議員石崎岳を候補に決定した(道新 平15・4・29)。最多得票を獲得した上田文雄は同月二十二日、正式に出馬表明を行い、第二位の中尾則幸も五月十二日に出馬を表明した(道新 平15・5・12)。共産党は公認候補青山慶二(共産党道委員会副委員長)を五月十六日に擁立したが(道新 平15・5・17)、共産党本部の指示により告示後の同月三十日に擁立を取り下げ、結局自主投票の方針を決めた(道新 平15・5・31)。
 六月八日に実施された再選挙は、市民ネット推薦、民主・社民支持の上田文雄、自民・保守新党推薦、公明支持の石崎岳無党派中尾則幸の三者で争われ、上田二八万二一七〇票、石崎二五万六一七三票、中尾一二万六四八八票という結果で、上田が初当選した。石崎は公明党の支持を得たが、前自民党候補の道見重信が「中央主導」の候補差し替えと批判して上田支持を表明し、秋山孝二山口たかも上田支持を表明した(道新 平15・6・7)。道新の出口調査では無党派の四七パーセントと共産支持層の四二パーセントが上田支持にまわっており、無党派の動向がこの結果をもたらしたとされた(主役交代)。