表17にほくさんの販売高の事業分野別内訳をかかげた。ほくさんの事業を昭和五十五年時点について大別すると(一)産業用ガス(酸素、窒素、アルゴン、溶解アセチレンなど。表17では産業関連部門に該当)、(二)燃料ガス(表17では燃料関連部門に該当)、(三)ユニット・バス(表17では住宅関連部門に該当)に分けることができる。その後平成四年までの期間をみると、産業関連部門の比率は横這いで推移し、燃料関連部門の比率は大きく低下する。これに対して住宅関連部門は増大し、医療産業部門、食品関連部門が台頭してくる。住宅関連部門では、バスオールの名で知られるユニットバスが主力であり、医療部門は医療用酸素、ガスに加えて輸入医療機器販売、食品関連は液化窒素を用いた冷凍食品が「さぶーる」の名で売り出された。
表-17 ほくさんの販売高 | (単位:百万円、%) |
部門 | 昭55 | 60 | 平2 | 4 | 5 | 9 |
販売高 (百万円) <内訳> | 39,701 | 50,813 | 87,337 | 87,313 | 143,658 | 146,826 |
産業関連部門 | 24.9 | 19.0 | 27.6 | 24.5 | 39.7 | 40.0 |
医療産業関連部門 | 4.7 | 8.1 | 8.2 | 10.4 | 7.7 | 10.7 |
燃料関連部門 | 52.1 | 50.5 | 31.0 | 30.2 | 16.7 | 18.7 |
食品関連部門 | ― | 3.1 | 6.1 | 6.5 | 4.2 | |
住宅関連部門 | 18.3 | 16.4 | 25.5 | 27.3 | 16.7 | 14.2 |
環境機材関連部門 | ― | ― | ― | ― | 6.7 | 7.9 |
エンジニアリング関連部門 | ― | ― | ― | ― | 7.1 | 3.7 |
その他 | 15.8 | 2.9 | ― | 1.4 | 1.5 | 1.1 |
ほくさん『有価証券報告書』各期、大同ほくさん『有価証券報告書』各期 1 産業関連部門は原資料の高圧ガス部門も含む。 2 平成5年の燃料関連部門の数値には食品関連部門も含む。 3 平成5年から大同ほくさんの数値。 |
資本的な面では、昭和五十四年に道内本社企業としては六番目の東証一部上場を果たし(道新 昭54・8・24)、平成四年九月に大同酸素(本社、大阪)との対等合併(五年四月一日付け)が発表された。合併後の売上高では産業ガス分野では東京酸素に次ぐ業界二位となり、また大同酸素は産業ガス部門、西日本に、ほくさんは燃料、医療、住宅部門、東日本に優位性があることから相互補完的な合併であった(道新 平4・9・2)。表17の五年の数値をみると、販売高は一・六倍化し、産業ガスを含む産業関連部門が増大して燃料、医療、住宅が軒並み比率を下げたのは、大同酸素の事業構成の影響を受けたことと、事業部門分類が変更されたことによる。大同ほくさんは、さらに十一年十二月に共同酸素(本社、大阪)との合併(十二年四月一日付け)を発表し、社名もエア・ウォーターと改められることになった(道新 平11・12・10)。