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拓銀破綻関連倒産―たくぎん抵当証券倒産など

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 拓銀破綻の翌十八日、系列のノンバンク「たくぎん抵当証券」が札幌地裁に自己破産を申請し、事実上倒産した。負債総額は五三九一億円(発表当初は三六七三億円)で、当時北海道史上最大の額(それまでは昭和五十六年の北炭夕張の約七二一億円)であった。昭和五十九年に設立されたたくぎん抵当証券はバブルの波に乗って、平成四年三月期の融資残高は五二八一億円に達したが、バブル崩壊後は急速に収益が悪化して九年十月末には貸出額の六割が不良債権化し、二〇五二億円の債務超過に陥っていた。また借入金残高二九八一億円のうち一二一二億円が拓銀からの借り入れであり、拓銀の支援を得られなくなった途端に倒産を余儀なくされ、関連倒産第一号となったのである。同十月末の抵当証券販売残高六九二億円のうち一般投資家七二〇三人に対する残高は二六一億円であったが、抵当証券は預金保険法の保護対象ではないために、その償還(払い戻し)がどうなるかが大問題となった。「家を売ってつくった一千百万円、主人は入院しているので、入院費、生活費に充てようとしていたのに」(札幌市、女性七六歳)、「拓銀で売っているわけだから絶対安心と思った」(同、五三歳)という声をはじめ、怒りと嘆きと不信の声が続々と新聞社等に寄せられた(道新 平9・11・19)。これらの声は急速にまとめられて、ついに集団提訴となった。すなわち十年三月の第一次提訴(五人)以来、原告団はみるみる増えて三一四六人となり、道内最大の訴訟となった。十一年四月、償還率八五パーセントという条件で第一次提訴の五人との和解が成立すると、残りも同様の条件で次々と和解し、決着した(道新 平11・6・18)。
 拓銀破綻以来の一年間の倒産は一一二件、負債総額一兆八〇六九億円にのぼったが、そのうち拓銀系列一〇社で負債総額の九二パーセントを占めた(道新 平10・12・1)。負債総額の多い順では、たくぎん保証(平成十年三月、六一〇〇億円)、たくぎん抵当証券(同九年十一月、五三九一億円)、たくぎんファイナンスサービス(同年十二月、二一五七億円)、ティ・エイ・シー・ティ(不動産業、同十年五月、九七五億円)、エイペックス(同年三月、九五〇億円)、たくぎんキャピタル(ベンチャーキャピタル、同年七月、三〇五億円)などがあげられる。