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卸売業の地位

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 昭和四十一年八月二日、北六条東五丁目に札幌繊維卸センターが完成し、その落成式が行われた。同年五月には、北六条東二~四丁目の帝国繊維跡地に建設が計画された札幌総合卸センターも着工し、四十三年十月に完成した。このような卸売業者による商業団地の整備は、交通規制強化による店舗前の駐車禁止、店舗・倉庫拡張用地の入手困難などといった都心部特有の事情とともに、いわゆる「流通革命」の進展により卸売業の共同化、効率化が必要となったことによるものであった。札幌総合卸センターの場合、札幌市内の家庭金物業者一一、靴・はきもの業者一〇、薬・化粧品業者一一が参加し、配達業務やこん包材料の仕入れ、計算部門などを共同化することとなり、さらには駐車場問題までも一気に解決することとなった(タイムス 昭41・2・23)。一方センターに入居した業者の年商額は、薬粧の場合市内の九二パーセント、全道の五九パーセント、金物の場合市内の八八パーセント、全道の四六パーセント、靴・履き物では市内の五八パーセント、全道の四〇パーセントを占めており、隣接する札幌繊維卸センターを加えて、まさに札幌市のみならず、北海道の商品流通の中心とも位置づけられることとなった(道新 昭40・12・24)。
 ところで札幌の卸売業に関する三十九年から平成十一年までの推移(表19)をみると、商店数、従業員数、年間販売額ともにバブル経済期までは、基本的には増加している。また商店数は、卸売業と小売業を合計した全体の商店数に対して常に三〇パーセント程度を占め、近年は四〇パーセントに近づいている。従業員数は、全従業員数に対する割合が五〇パーセント前後から減少傾向にある。ところが年間販売額の総年間販売額にしめる割合は、常に八〇パーセント程度を確保して小売業を圧倒しており、卸売業はまさに「札幌商業の発展の原動力、商業における揺るぎない地位を象徴する」(市勢概要 昭53)ものであるといえる。また道内における支配力の強さは、札幌市の年間販売額が昭和五十年代以降全道における卸売業の年間販売額の約六割を占めていたことからも明らかであるが、小売業では平成にはいって全体の商店数に占める支店の割合が三割から四割に増え、それとともに年間販売額に占める支店の年間販売額の割合も六割から七割程度に増加したのに対し、卸売業では常に全体の商店数に対して支店が約五割を占め、年間販売額でも約七割を占めている(札幌市の商業 平3・平6・平9)。
表-19 卸売業の商業概況
商店数従業員数年間販売額全道年間販売額
昭392,881(21.3)49,531(47.2)794,153(86.0)1,501,844
 453,474(26.1)54,050(51.0)1,341,095(82.4)2,622,405
 514,757(28.7)70,763(51.9)4,460,795(83.6)7,901,298
 576,765(33.1)84,029(51.5)8,105,004(84.5)13,664,175
 636,861(33.9)86,458(48.9)8,756,872(82.7)14,890,570
平 67,285(35.1)94,263(46.5)9,427,743(80.1)16,452,303
 127,474(37.0)89,496(42.7)8,948,838(78.8)15,182,736
( )内は総商店数、総従業員数、総年間販売額にしめる割合(%)
商業統計調査をもとに作成
年間販売額の単位は百万円

 一方従業員数を商店数で割った一店平均の従業員数は、バブル経済期前が一五~六人、それ以後でも一二~三人であるが、三〇人未満の商店数が全体の九割以上を占め、比較的小規模な商店が圧倒的である。それに対し販売額は、三〇人以上の商店が販売額の約五割を占めているが、小売業では三〇人未満の商店数が全体の九五パーセント以上を占め、販売額でも全体の六割程度を占めており、卸売業では小売業に比べて、比較的大型の商店が強いことがうかがえる。