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電力の自由化と北電の対応

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 昭和三十九年に公布され、翌四十年に施行された「電気事業法」は、日本経済のバブル崩壊後の平成七年および十一年の二度にわたって大幅に改正された。特に後者の改正では電力の小売部分の自由化が盛り込まれており、電力業界にとっては極めて大きな影響があると考えられた。このように、日本社会全体の規制緩和・構造改革という流れの中で電力業界もついに自由化時代に突入したのである。
 こうした電力各社を取り巻く環境が激変するなかで、北電は平成十二年一月「二〇一〇年に向けてのビジョン」を公表し、みずからを総合エネルギー企業として位置づけることを表明した。すなわち、電力小売自由化という流れのなかで、電気事業から総合エネルギー企業として業域を拡大しようというものであり、この新ビジョンによれば、到達時点までの北電の発展の姿を次のように集約している。
北海道の電気事業者としてゆるぎない地位を確保する
電気事業で培った技術・ノウハウを活かし、北海道においてエネルギー分野で多様なサービスを展開する
環境・福祉分野などエネルギー以外の分野でも新たな事業・ノウハウを取得し、時代と市場ニーズを先取りした事業を展開する
(北海道電力 第七十六期有価証券報告書 平成十一年四月―平成十二年三月)

 なお、同社の社史『北のあかりを灯し続けて―北海道電力五十年の歩み』では、この新ビジョンの④として、海外での新事業の展開が挙げられている。
 このようにして、北電は「将来の持ち株会社化や関連会社の再編・合併なども視野に、同社グループ全体の体質強化を目指」そうとしているのである(道新 平12・1・28)。