こうした電力各社を取り巻く環境が激変するなかで、北電は平成十二年一月「二〇一〇年に向けてのビジョン」を公表し、みずからを総合エネルギー企業として位置づけることを表明した。すなわち、電力小売自由化という流れのなかで、電気事業から総合エネルギー企業として業域を拡大しようというものであり、この新ビジョンによれば、到達時点までの北電の発展の姿を次のように集約している。
① | 北海道の電気事業者としてゆるぎない地位を確保する |
② | 電気事業で培った技術・ノウハウを活かし、北海道においてエネルギー分野で多様なサービスを展開する |
③ | 環境・福祉分野などエネルギー以外の分野でも新たな事業・ノウハウを取得し、時代と市場ニーズを先取りした事業を展開する |
(北海道電力 第七十六期有価証券報告書 平成十一年四月―平成十二年三月) |
なお、同社の社史『北のあかりを灯し続けて―北海道電力五十年の歩み』では、この新ビジョンの④として、海外での新事業の展開が挙げられている。
このようにして、北電は「将来の持ち株会社化や関連会社の再編・合併なども視野に、同社グループ全体の体質強化を目指」そうとしているのである(道新 平12・1・28)。