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民間「駆け込みシェルター」の開設

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 平成九年三月一日、札幌市内の女性団体女のスペース・おんでは、電話や面接相談を中心に行ってきたが、暴力をふるう夫等から逃れる女性のための一時避難施設として市内の集合住宅の一室を借りて「駆け込みシェルター」一号を開設した。開設当時民間シェルターは、全国に一〇カ所があり、道内では初めての開設であった。暴力におびえる女性からの相談が年々増加し、生命にかかわる暴力も目立ってきたため、緊急を要したからである。運営は「駆け込みシェルター設立準備委員会」(成田教子委員長)であった。施設開設直後の国際女性デー札幌集会では、女のスペース・おん近藤恵子代表の「女性への暴力」と題した講演においても、女性が夫からの暴力に生命に危険を感じながらも、なお女性自身は「自分が悪い」からと責めざるを得ない環境下にあること、「そうした女性が頼れる空間を作ることが急務」(道新 平9・3・9)と、シェルターの必要性が力説された。札幌に続いて、旭川・函館・室蘭・帯広・北見・苫小牧の七地域にシェルターが開設され、十年には「北海道シェルターネットワーク」が誕生し、緊密な連携のもとにサポート業務を展開している。また、同年には、「全国女性シェルターネットワーキング」が結成され、六月二十日札幌シンポジウムが開催された。しかし、女性へのDV、セクハラ、性差別は一向に減少するどころか、法的な防止法制定へと取り組まざるを得なかった。韓国では、DV防止法・セクハラ禁止法・性差別禁止法を矢継ぎ早に勝ちとっていたことから、十一年十一月ソウル視察ツアー、十二月アメリカ東海岸DV施策スタディツアーに参加するなど、日本社会においてもDV防止法制定への動きが本格化し、十一月、女のスペース・おんが事務局として、全国シェルターネットによる「DV防止法制定全国アンケート調査」が実施された。「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律」(通称・DV防止法)の成立は、十三年四月六日である。