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札幌市の「家庭内暴力」への取り組みと対策関係機関会議

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 「婦人保護事業」の経過のところでも触れたように、札幌市の婦人相談窓口でも夫からの暴力などの相談が顕著になりつつあった。これまで隠れがちだった家庭内の暴力に対して女性自身が「人権侵害」であることに気付き、社会の意識が変化してきた結果でもあった。札幌市では、平成九年五月に第一回の「女性への暴力(家庭内暴力)」対策関係機関会議を持ち(札幌市男女共同参画施策の概要 女性企画室・女性センター関係分 平成11年度)、翌十年二月九日には第二回対策関係機関会議を札幌市、道警、道立女性相談援助センターなど一四団体(札幌市保健福祉局児童家庭部児童家庭課・同総務部保護指導課・同児童福祉総合センター、札幌市精神保健福祉センター、同都市局住宅部住宅管理課、同教育委員会学校教育部学務課、同女性センター、札幌弁護士会(両性の平等に関する委員会)、(社)北海道家庭生活総合カウンセリングセンター(北海道被害者相談室)、北海道マリッジカウンセリングセンター、駆け込みシェルター運営委員会、北海道子どもの虐待防止協会、札幌市市民局女性企画室男女共同参画課など)が集まって、援助活動の現状が報告され、課題などについて話し合いが行われた。現状報告では、同センターへの暴力にまつわる相談件数が増加していることなどが紹介され、民間の駆け込みシェルター運営委員会からは、「夫が妻に暴力」の場合、「その八割は子供たちも虐待を受けている」といった深刻な事例の報告もあった。また、市児童福祉相談センターからは子供から母親への暴力の増加、不登校の子供がストレスのはけ口を家族へ向けているといった事例も報告された(道新 平10・1・24)。市では「女性への暴力は、人権侵害であるということを市民に広く知ってもら」い、女性への暴力被害根絶に向けて市民向けリーフレット「夫・恋人からの暴力をなくそう!」を作製した。さらに、市では被害女性の実態把握と問題点の解明などを目的とした調査研究を行う方針を決めた。同調査は、民間の「駆け込みシェルター」運営委員会の弁護士や医師ら専門家達に委託され、同シェルターに避難してきた被害女性の状況や、夫がなぜ暴力を振るうのかなど問題点や原因を調べるほか、被害女性の自立や暴力の潜在化の防止に向けた対策について研究が行われることとなった(道新 平10・1・24)。

写真-10 女性への暴力をなくすための市民向けリーフレット(札幌市)

 市では、十年四月一日「『女性への暴力(家庭内暴力)』対策関係機関会議の概要」を示した。「会議は女性に対する暴力(家庭内暴力)への取組について、民間、警察、行政などの関係機関が有機的な連携を図り、女性の人権擁護の観点から予防から救済までのサポート体制を総合的に検討すること」を目的とし、女性に対する暴力(家庭内暴力)についての施策の情報交換・施策の研究協議などを協議事項とした(女性施策の概要 平10年度)。