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札幌市緊急一時保護施設の開設

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 夫等からの暴力に関する相談件数が増加したことを受けて、市の相談窓口では、受付件数のうち夫等の暴力に関する相談件数を別途集計することにした。列挙すると、平成十一年度三二九件、十二年度三七三件、十三年度三八六件、十四年度五〇八件、十五年度五五三件と合計二一四九件にも達した(子育て支援課提供資料)。市では、この結果一時保護施設の緊急性を迫られ、これまで民間に委ねてきた「駆け込みシェルター」的施設を十一年度から、緊急一時保護施設として開設に踏み切ることになった。暴力根絶を目指し女性の人権が守られた社会環境を確保するためのものであった。十一年度から十五年度までの緊急一時保護状況は表43のとおりである。ここに現れた数字は表面化したもののみであって、潜在化した数字は図り知れない。特に女性のみならず子どももまた暴力の被害者であることがクローズアップされたことが注目される。
表-43 札幌市母子緊急一時保護事業等の実施状況
年度入所件数
(件)
入所日数
(日)
平均入所日数
(日)
同伴児童数
(人)
平均児童数
(人)
利用率
平111230425.3100.8383.1%
 121924612.9180.9567.4%
 13222099.5170.7757.3%
 141419013.6151.0752.1%
 151520813.9151.0062.1%
82115714.1750.9164.4%
札幌市児童家庭課提供資料による。※15年度は11月末までの実績。15年9月16日から2室体制。

 さらに、札幌市では十一年三月十八日付けで「札幌市『女性への暴力(家庭内暴力)』対策関係会議専門部会(ワーキンググループ)」を設置し、専門部会は、相談から緊急一時保護の場面におけるワーキンググループと緊急一時保護から自立支援の場面におけるワーキンググループの二つに分けられ、図9のようなフローチャート図が示された。具体的には、「問題解決に向けての調整」がA機関とB機関(担当者)同士で協議を行い、調整が困難な状況になったケースについてワーキンググループで再協議され、再協議を呼びかける機関は女性企画室へ連絡し、男女共同参画課が各関係機関への出席を依頼する。ワーキンググループAは、相談から一時保護を受け持ち、市内における緊急一時保護機能を持つ施設に一時保護まで担当する。ワーキンググループBは、一時保護から経済・住宅問題、精神的問題、医療・保健問題、学籍移動問題、離婚問題、加害者対策問題にいたるまで自立支援にあたり、暴力被害女性(子ども)の自立・暴力のない生活環境を作る自立支援を行う、といった活動である。十一年十月からは、対策関係機関会議の構成員として、札幌法務局人権擁護部も加わり関係機関は一六となった(「男女の共同参画型社会を目指すさっぽろ計画」推進状況一覧表 平11年度版)。このように、札幌市では女性への暴力根絶を目指した社会環境作りに努めている。

図-9 専門部会フローチャート図