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民族の歴史と文化を学ぶ

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 アイヌ文化や歴史を正しく学ぼうとする機運も高まって来た。五十七年九月十五日には、札幌・豊平川河畔で一世紀ぶりに「サケ迎えの祈願」(アシリチェプノミ)が復活した(道新 昭57・9・16)。また同年十月二日には「アイヌ文化に親しむ会」(藤村久和会長)が札幌市内で設立総会を開催した。道内各地からアイヌ文化に関心を持つ約六〇人が集まり、アイヌ文化に親しみ、学ぶ場を作ろうという目的で、機関誌の発行、講演会、野外学習、博物館巡りなど各種事業を行うものであった(道新 昭57・10・3)。同年十一月には、道高教組少数民族専門委員会によって『生徒とともに考える日本の少数民族―その現状と指導の手引き』が刊行された。五十九年一月には、「アイヌ古式舞踊」が国の重要無形民俗文化財指定を受けるなど、アイヌ文化の評価が高まる一方で、同年七月には、札幌法務局が、札幌市内の道立高校の過去の社会科授業での「アイヌ民族侮べつ授業」を「人権侵害」と認定するような事実も発覚した(道新 昭59・7・27)。また同年八月には、昭和初期から北大医学部に標本として保管されてきたアイヌ人骨一〇〇四体の「アイヌ納骨堂」の建立と供養祭(道新 昭59・8・11夕)が行われた。六十年東京地裁上告の「アイヌ女性肖像権訴訟」はアイヌ民族の人権復権運動の象徴的運動ともなった(昭63・9・20、東京地裁での和解交渉で、被告側が陳謝する「謝罪文」を出すことで和解成立。アイヌ肖像権裁判・全記録、道新 昭63・9・21)。アイヌ民族の歴史と文化を学ぶことから「アイヌ新法」制定運動への大きなうねりとなった。