北海道では昭和六十三年二月二十七日、アイヌ民族の社会的・経済的地位向上を図る指針となる「第三次北海道ウタリ福祉対策」を策定した。また、道知事の私的諮問機関である
ウタリ問題懇話会は三月二十二日、国に「
アイヌ新法」制定を提言する最終報告書をまとめ、
横路孝弘北海道知事に提出したり(道新 昭63・3・23)、三月三十一日には、道議会厚生常任委員会で「
アイヌ新法」制定を報告するなど、道レベルで意見調整が進んでいた。こうして、北海道や道ウタリ協会による「
アイヌ新法」制定への政府への要請を活発に行った(道新 昭63・8・10)。また、平成元年(一九八九)十一月十四日、道ウタリ協会は札幌市内で「
アイヌ民族の新法制定促進総決起集会」を開催、北海道も「
アイヌ民族の明日を考える集い」を同時開催した。集会後、ウタリ協会として初めて札幌市内を民族衣装をまとい、三〇〇人余りがプラカードを手にしてデモ行進した。プラカードでは「旧土人ではない、アイヌだ!」「国の窓口を早くつくれ!」等と訴え、四〇〇人分の署名を集めた(先駆者の集い 52号、道新 平1・11・15)。札幌支部会員たちも多数参加した。
写真-12 街頭デモ行進(平成1.11.14)
政府レベルでの検討作業も、既存の「
北海道ウタリ対策関係省庁連絡会議」が開催され、これに続いてこの会議の下に「
アイヌ新法」制定のために新たに設けられた検討委員会の初会合が開催されたのは、平成二年一月十二日のことである(道新 平2・1・13)。