介護保険制度の実施にあたり、市では市民PRとして、十一年八月には連合町内会を単位として、市内九〇カ所で介護保険制度地域説明会を開催した(二十期小史)。同年九月十四日、市介護保険事業計画策定委員会は、中間報告書をまとめた。報告書は、実施時の六五歳人口を二六万二〇〇〇人と試算、約二万九五〇〇人が「介護や支援を必要とする」に相当し、うち一万九九八〇人が「ホームヘルパー派遣などの在宅介護を必要」とされ、残り九五〇〇人が「特別養護老人ホームなどの施設で介護を受ける」、と推計した。また、在宅介護サービスの供給量は、ホームヘルパーの派遣を受ける「訪問介護」が週二万五五〇〇回で、老人保健施設などに出向き、入浴などをする「通所サービス」は週一万五五〇〇回などと推計した。施設介護では特別養護老人ホームが三〇三〇人、老人保健施設は二九七〇人などと推計した(道新 平11・9・15)。
同年十月一日、要介護認定の申請受付を開始した。訪問調査の実施には、市と第三セクター・札幌市在宅福祉サービス協会にも委託して一七五人体制で行った。同年十二月末現在、全体の見込数三万人のほぼ半数、うち一万三八〇〇人の申請があり、このうち、一万一二〇人が判定を受けた。市内七二の介護認定審査会(保健・医療・福祉の学識経験者など)の判定結果は次のとおりであった。
▽自立四八六人(四・八パーセント)、▽要支援一八四七人(一八・三パーセント)、▽「要介護1」三四九二人(三四・五パーセント)、▽「同2」一八五七人(一八・四パーセント)、▽「同3」九七五人(九・六パーセント)、▽「同4」七六二人(七・五パーセント)、▽「同5」六五六人(六・五パーセント)、▽「再調査」四五人(〇・四パーセント)
判定結果について一次と二次判定結果に「ばらつきがある」との指摘があり、「市介護認定審査運営委員会」を開くこととなった(道新 平12・1・19)。
市議会厚生委員会では、市のガイドヘルパー派遣制度(重度の身体障がい者の外出時にヘルパーを派遣するサービス)に対し、他都市よりも低水準ぶりが指摘されたり(道新 平10・9・23)、ホームヘルパー(障がい者や高齢者のいる家庭を対象に家事や介護を手伝う)の待遇問題も指摘された。実際に、介護にあたるヘルパー数は、十一年末現在一七六九人を数えたが、札幌地区連合のアンケート調査によると、回答者三〇〇人のうち「常勤」は九・七パーセントに止まり、「非常勤・パート」が七三・〇パーセントにも上り、不安定な雇用状態にあることも明らかにされた(道新 平12・2・4)。このため市では、札幌市在宅福祉サービス協会のパートヘルパーに雇用保険適用など条件整備を行った。なお、介護保険料は、六五歳以上の高齢者の場合、当初半年間徴収猶予、その後も一年間半額だけ徴収と決定した。
こうした過程を踏んで、十二年四月から介護保険制度はスタートした。