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非行防止対策

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 校内暴力などの根絶のため、五十八年三月には、市助役を本部長とする「青少年非行防止札幌市民運動推進本部」が設置された(道新 昭58・4・2)。また市内有識者ら八人で「青少年非行防止対策懇談会」を作って、対策を立案・提言してもらうこととした。懇談会の提言を受け、中学校区ごとに非行防止にあたる推進会が結成されることになった。推進会は、中学校ごとに小、中学校と町内会、育成実践者が一体となって非行化防止にあたり、例えば巡回やひと声運動、有害環境の浄化などの活動を行うことになった(道新 昭58・8・6)。市教委では、五十八年六月に生徒指導相談員制度を作った。全国的にみても珍しい制度であり、「青少年の非行防止に情熱と意欲を持ち、子供の相談や指導の経験を持っている」ことを条件に、計一二人が選ばれた(タイムス 昭58・6・28)。また翌年四月には、市教委はこれまで毎年一回発行していたB五判の生徒指導集をポケットサイズの新書判として『必携ハンドブック』と名付けて、市内教員全員に配布することとした(タイムス 昭59・4・28)。
 前述のT教師の中学校において、学校が立ち直るきっかけとなったのは、三〇周年記念行事の式典での全体合唱であった。「合唱は『心を一つにして行事に取り組む』という気持ちがないと成功しない。音楽の先生のおかげもあって、全校合唱は、生徒も親も感激する出来だった」という。そのほか、教師たちを含めての「おはよう運動」もきっかけの一つとなった。T教師は「中学校は三年あれば立ち直れる。新一年生をいかに指導するかによって、少しずつ学校は良くなっていくのである。集団には自浄作用がある。生徒たちの中で自分たちの学校がこれでよいのかという気持ちが生まれた。それを後押しするのは、教師集団の一糸乱れのない行動と父母の信頼・協力、そして学校の方針に対する町内会など地域の援助である」としている。