ビューア該当ページ

指導要録の開示

763 ~ 764 / 1053ページ
 「子どもの知る権利」に関連して、指導要録開示について公文書公開審査会による「全面開示」の答申が平成九年十一月にだされた。これは、八年二月に、市内の母親四人が自分の子どもが卒業した小・中・高校の指導要録の公開を市教委に請求したことにはじまる。同年四月に市教委は「公開すれば自尊心を傷付けられた児童が教師や学校に不信感を抱き、その後の指導に支障をきたす」などの理由で本人の住所や氏名などの学籍だけを公開し、学習や行動の記録など評価項目を一切非公開にした。しかしこれを不服とした母親が審査会に全面公開を要求していたのである(道新 平9・11・11)。「全面開示」の答申をうけて市教委は、十年一月一二日、卒業生・在学生を問わず開示を原則とする方針を決めた。ただし在学中については「子どもの自尊心を傷付ける」「子どもの意欲や向上心を失わせる」など五つの事例の場合のみ非開示とした。ただし市教委は「一部が非開示となるケースは極めて少ないだろう」という見解を示した。これまで指導要録を全面的に開示した例は札幌市を含め全国三二の自治体に上るが、多くは請求があったケースに限ったもので、明確な方針や基準を示したものはほとんどなかった。そのため原則全面開示は全国でも珍しいケースであった(道新 平10・1・23)。