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いじめ問題

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 昭和五十七・八年を前後して、校内暴力は鎮静化していったが、それに対していじめが急増し、大きな社会問題となった。市内の実態がわかるのは、五十九年度からであり、市立の小・中・高校で六八一件を数えた。六十年度からの小・中学校の実態については、表1にまとめた。その発生件数は、六十年度において小学校が一二三校で六二九件、中学校が六三校で六八二件となっていたが、その後減少した。しかし平成六年度を頂点に増加し、その後小学校では二桁台に、中学校では三桁台の件数で推移している。学年別には小学校では学年が進むにつれて多くなり、中学校では二年生が一番多くなっている。いじめの特徴としては、特定の一人を集団で排除・阻害したり、プロレスごっこと称して巧みに手口や手段を偽装したりしており、それが、長期で陰湿化して罪の意識を持たずに行われたり、発展して恐喝や傷害などの犯罪行為となっている、とする(生徒指導資料第12集 いじめ問題への対応)。被害者と加害者とともにそれを取り巻いてはやし立てる観衆や、見てみぬふりをする傍観者がおり、傍観者がいじめを止めに入ろうとして仲裁者となった場合、逆にいじめの対象にされるといった構造になっている。
表-1 いじめの発生学校数および発生件数
年度小学校中学校
学校数発生学校数発生件数学校数発生学校数発生件数
昭601791236297463682
 61183541447962291
 6218644718351227
 6319038598652225
平 119318438946219
  219619349035135
  319812199231116
  420015299443217
  520418419437153
  6207721929664301
  720963749765269
  821036679764254
  921143889759330
 1021127499856211
 1121123299955185
 12211263510054178
 13211192410062237
 1421130429964237
いじめ問題への対応』(札幌市教委 生徒指導第12集 平成8年)および市教委調べ。

 市では、昭和六十年度から「いじめ」相談電話の設置を開始した。平成七年九月二十九日に「体罰の根絶およびいじめの防止に対する取組の強化について」を通知し、同年十一月を取組月間として初めて設定した。授業や学級活動でいじめ問題を取り上げ、「いじめは人権問題で許されない行為」という考えを徹底させ、いじめを見つけた場合、子ども自身が勇気を持って注意するように指導することとした。教職員向けには、「児童の権利に関する条約」の小冊子などを活用した研修会を開いて体罰禁止の意識を高め、いじめについても被害に遭っている子どもや保護者に対して気軽に相談できるよう、教職員が呼びかけることとした(道新 平7・10・2夕)。
 八年七月十六日には、いじめ問題の総合的対策を検討してきた文部省の専門家会議が最終報告書を提出した。「いじめられている子を守る」という立場を強調したうえで、具体策として、いじめられている子の欠席を認め、休んでいる間の学習の場として「やすらぎの教室(いじめサンクチュアリ)」の整備、学年途中も含めた学級替えの弾力的運用、転校措置の徹底などを提言した(道新 平8・7・17)。