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都市化のなかでの「小さい学校」

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 都市化のなかで全道的に「小さい学校」は少しずつ減少したが、一方で札幌市は周辺町村との合併をしたため、それほど数は減らなかった。昭和四十七年においては、小学校は中央区で盤渓(1学級)、東区で福移(2)、西区で手稲北(4)、南区で白川(2)・豊滝(5)・常盤(3)・駒岡(3)、北区で鴻城(3)、白石区で上野幌(4)・東米里(3)、豊平区で有明(2)の一一校であった。滝野小学校は廃校となり、その敷地は四十六年八月に滝野自然学園となった。同学園は、市立小・中学校の野外活動宿泊施設として開設された。修学旅行などと同様に教育課程のなかに位置づけて宿泊研修をさせるものであり、四十七年度においては小学校六四校、中学校一〇校の計一万二〇〇〇人が利用した。

写真-2 有明小学校での授業風景(昭和52年ころ)

 「小さい学校」では、一人の教師が複数の学年をもつため、別の内容を同じ時間内に教えなくてはならない。そのため「ずらし」と「わたり」が重要となる。「ずらし」とは授業の流れを学年別にずらすことである。例えば「課題・設定」→「解決・努力」→「定着」→「習熟・応用」という授業の流れがあるとする。教師が三年生に新しい授業の「課題・設定」を行っている間は、四年生は前回の授業の「習熟・応用」を自分たちで行っていることになる。また「わたり」とは教師が各々の学年の直接指導にどのようにあたるかを示すものである。三年生に直接指導をしていて(その間、四年生に対しては間接指導となる)、三年生についてどの時点でどの程度の間接指導に移行して、四年生の直接指導へと入っていくかということである。図3は、五十年度の鴻城小学校校内研究会の三・四年生の算数の指導案の一部である。真ん中の線が「わたり」であり、各々の学年で、児童が自己学習を行っているか、もしくは教師と対面して授業を受けているかという「ずらし」も教師・児童の活動の述語をみるとわかるようになっている(札幌市複式学校教育研究協議会 昭和51年度 研究紀要)。そのほか複式学級では似たような内容を異学年一緒に行う合同学習といった授業なども行われた。

図-3 複式学級での授業の一例(「ずらし」と「わたり」)
札幌市複式学校教育研究協議会『研究紀要』第10号、昭和51年。