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定時制高等学校の役割変化と有朋高等学校の単位制高校化

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 中退理由のトップは進路変更であった。しかし実際には多くの者が就職やアルバイトをし、高校への再入学はほとんどなかったり(道新 昭60・4・8)、その後の進路をはっきりしないまま学校を去るケースも多かった(道新 昭62・1・14および6・23)。その中で、その受け皿となったのが定時制高校である。そもそも定時制高校は、昼間に働き、夜間に勉学をするという生徒のための学校であった。しかし時代の変化とともに、全日制に入学できず「不本意入学」する生徒が増えてきた。昭和六十三年八月発表の北海道高等学校教職員組合編集の「北海道定通教育白書」によれば、不本意入学の割合が三七パーセントとなっていた。前回調査の一〇年前の二八パーセントを大きく上回る数字である。また中学校を卒業後すぐに定時・通信制高校に入学した生徒の割合は七四パーセントで前回の八三パーセントより減少し、過年度卒業生の割合が増えた。これら過年度卒の生徒について中学校卒業後どうしていたかを尋ねた結果は、全日制高校進学が三六パーセントに達し、前回の二二パーセントから大幅に増加した(道新 昭63・8・27夕)。高校中退者の増加と密接に関係する数字であろう。
 平成三年度に道内で初めての単位制高等学校が市内の道立有朋高等学校に開設された。それまで同高校には夜間定時制と通信制があったが、それに加えて昼間定時制を置き、学年制の枠を取り払って八〇単位を取得できれば卒業できる単位制のシステムを作ったのである。単位制高等学校は高校教育の多様化、弾力化の一環として誕生したもので、無学年制で生徒の希望や必要に応じた科目や時間の選択が可能である。単位を一つでも落とせば同じ学年をやり直さなければならないことが高校中退増加につながっていることも、単位制設置の理由であった(道新 平1・2・28)。