琴似屯田兵屋が道文化財へ指定された後、琴似兵村の文化財保護と史跡指定のために、昭和四十二年九月に文化庁文化財保護委員会記念物課の担当技官が来札し、四カ所を候補として調査・選定していた。このうち、一カ所の所有者が指定反対のため削除され、①兵屋番号一三三の清野宅(西区琴似二―五)、②同二五九の菅原宅(同一―三)、③同一四〇の旧佐藤宅(同一―七)の三カ所が選定されていた(文化財課資料)。③は既述した道指定の兵屋である。以上の三カ所につき四十三年十一月一日の文化財保護審議会にて、「琴似屯田兵村兵屋跡」の指定が決定し、文部大臣に指定が答申されていた(道新 昭43・11・2)。ところがその後、所有者との同意承諾、買収交渉で紛議が生じ、①のみが四十五年に一五〇坪の敷地と共に市に買収され、四十六年に解体・復元修理がなされ公開されるようになった。しかし、②③の方は進展せず、国も五十六年にいたり指定をあきらめ、①だけが「最初の屯田兵村兵屋の姿を永く保存するもの」として、五十七年五月七日に国史跡へ指定された。答申から一四年を経過し、指定物件が変更となるなど異例づくめの指定となったが、②は失われ③がもれたのは惜しまれる。
北海道大学農学部植物園・博物館は、博物館の本館(明15建設)、事務所(明33)、倉庫(明17)、鳥舎(大13)、便所(明17)、植物園門衛所(明44)が一括して平成元年五月十九日に重要文化財に指定となっている(札幌の文化財)。北海道大学では昭和六十三年八月に文化庁へ重文指定の調査を依頼し、九月に調査が行われており(毎日 昭63・9・8夕)、その結果の指定であった。植物園内には、三十六年に植物園正門前の北二条西六丁目から園内へ移設されたジョン・バチェラーの旧宅もある。三十九年四月二十九日にバチェラー記念館(北大農学部附属博物館分館)として開館しており、彼が収集したアイヌ民族関係資料などが展示されている(同館は平成十二年に、国登録文化財となる)。
アイヌ古式舞踊は五十九年一月二十一日に国重要無形文化財に指定され、北海道アイヌ古式舞踊連合保存会が保護団体となり、道内八地域の保存会がその構成団体であった。札幌ウポポ保存会ほか八団体が、平成六年十二月二十一日に構成団体に追加となっている。札幌ウポポ保存会(昭和五十四年ウポポリムセ部会結成、平成三年十二月名称を保存会とする)は、チカップリムセ、ポンチカップ、イオマンテリムセなどの伝承演目をもっていた(文化財課資料)。